日時:1月26日(日)11時00分キックオフ
会場:流通経済大学竜ヶ崎キャンパスグラウンド
幾多の困難を乗り越えて 最後の最後に大きな「達成」
関東リーグ 昇格決定!!
大東文化大学 2−1 SEISA OSA レイア湘南 FC
後半19分 宇津木陽奈
後半38分 失点 (PK)
後半43分 加藤梨子
準決勝の十文字学園女子大学戦に辛くも勝利し、この試合に勝てば念願の関東リーグ昇格が決まるという中で迎えたこの試合。
OSAレイア湘南FCは夏の時之栖遠征でも対戦をしており、その時はポゼッションサッカーをしてくる相手に対して粘り強く戦い、宮田ひびきのゴールで0−1で勝利を収めていた。そして今回も、ポゼッションサッカーへの警戒を試合前に話していた。
スタメンに選ばれた選手も、ベンチの選手も、そして応援に回った選手も想いを一つにして、最後の試合に挑んだ。
試合が始まると、ボールを回してくる相手に序盤はこれといったチャンスが作れず、得点のにおいがなかなかしないまま時間が進んだ。前半29分には豊原彩葉が際どいクロス、前半34分には、宇津木がドリブルが好機を作るも得点にはつながらず、スコアレスで試合を折り返した。
(先制ゴールの宇津木、復調を見せ来季に大きな期待をのぞかせた)
後半は豊原に代えて加藤梨子、宇田川凛花に代えて山室佑梨花を入れ展開が早くなると19分、宇津木が相手GKのミスでもたつく感にボールを奪い、そのまま先制ゴールを決めた。宇津木にとっても久しぶりとなる待望のゴールで本学に流れが傾いたように思えたが、33分に、PKを献上し試合を振り出しに戻されてしまう。
このままPK戦もあると判断した川本監督は、後半38分に4年生の樋口明日香を投入。その樋口が魅せた。
後半アディショナルタイム、樋口の放ったクロスは相手GKの頭を越え、ファーサイドにいた加藤にフリーで渡った。そのボールを加藤が押し込み、ゴールネットが揺れた。
(決勝ゴールを決めた
加藤梨子)
4年生のすべての思いが詰まったものを、下級生が受け取ったというようにも感じられた。
樋口はこのシーンを振り返り「ベンチで試合を観ている時もみんなが気迫で戦っているのを感じたから、ピッチに入って自分も戦いたいと思った。あの一球に4年間のすべてを込めた」と試合を決めた一球に込めた思いを語った。
そしてこの直後に試合は終了。
選手たちは泣きながら抱き合っていた。
中でも、この試合で久しぶりのゴールを決めた宇津木は、この試合でともにFWのコンビを組んだ4年生の山室と、熱い抱擁を交わした。
宇津木はこのシーンを「試合終了と共に緊張の糸がほぐれて涙がこぼれてしまった」と、涙の理由を語った。
川本竜史監督は、「本当に最後の最後を優勝という形で締めくくられたのは良かったし、何より出場した選手だけが喜ぶんじゃなくて、ベンチの選手や応援に回った部員たち全員喜ぶことが出来たのが一番良かったと思う。」と選手たちに伝えた。
最後の最後に達成を掴み取った本学。日本一になる夢は後輩たちに託し、4年生は勇退する。
きっと来年度も、楓昴らしいサッカーで、活躍を見せてくれるだろう。
監督インタビュー
川本竜史監督
ー最後の試合でしたが、全員にどんな言葉をかけたか。
関東リーグへの道のりは今まで惜しいところまで行って届かないというのが続いていて、時期的にも難しい大会だけど、俺自身も今年こそはと思っていたところで選手たちもここまで勝ち上がってくれた。最後だし4年生をもっと出場させてあげたい気持ちもあるけど、選ばれた選手はその分も隙を見せずに最後まで戦おうと話した。
ー相手のレイアについては
スタイルもかなり確立されていて能力も高い選手ばかりなので、こういう展開になるというのは予想していたけど、しぶとく対応してらしい形で点が取れたと思う。泥臭いゴールであったけど、陽奈もずっと頑張っていたので、チーム全体として良かったと思う。
ー宇津木陽奈選手のゴールはかなり久しぶりだったかと思いますが、今日のゴールに関して。
チームとして求めている役割というのは得点だけではないし、得点が取れていないのは陽奈だけではないけど、本当に久しぶりなので、これを機に攻撃陣は来季点が取れるようになってほしい。
ーでは試合の展開は
失点のシーンは不運なPKといわれればそうだけど、時間的にも厳しい時間帯だったし、追いつかれてからはこのままPK戦になる可能性もよぎった。それで明日香にPKを蹴りたいか聞いたら、迷わず蹴りたいといってくれたので、最後出てもらったら最後にアシストしちゃうもんだから、やっぱりサッカーはわからないなというところ。すごいスピリチュアルな試合だったと思う。でも全員が気持ちを持って一致団結したからこその勝利だと思う。
ー今季は本当にどうなるかわからないという所から始まりましたが、一年間を振り返って
最終的に素晴らしい成績で終わることが出来たけど、それは嘘じゃなくて、今まで以上に試合に出ていた選手が少なくて、本当に経験値が少ない未知数な状態から始まった。でも分からない中でもがいて成長して、皇后杯は負けちゃったけど、ずっと準備していたからこそいざこうなった時に力を発揮出来たんだと思う。インカレの西が丘と皇后杯の本戦は行けなかったけど、想像しうる中で最高のものをなしとげてくれたと思う。
ー最後に4年生に向けて
本当にお疲れ様としか言えない。4年生の地道な努力が間違いなく今年のチームを引っ張っていたので、そこは本当に感謝してもしきれないですね。
選手インタビュー
高玉彩乃主将
ーインカレが終わってからのこの半月間、チームではどのように話して臨んだか。
満を持して挑んだインカレで2回戦敗退に終わってしまい目標であるベスト4を達成出来なかった中で、最後モチベーション保つのは難しかったですけど、後輩たちに何か置き土産を残さなければという使命感で、この関東リーグ昇格のチケットは絶対に掴み取ろうと思っていた。後輩たちがいたからこそ、ここまでこれたんだと思います。
ー試合が始まって回される展開もあったと思いますが、その間はどのように考えていましたか。
元々レイアのサッカーはそういうスタイルで、想定していたところもあったので、なんとかそれを押し切って得点をすることが出来た。
ー先制ゴールを奪ってからは
ああいう形でゴールは奪えたんですけど全然安心はしていなくて、もっと引き締めないとと思っていた中でPKで追いつかれてしまった。でもサッカーってそういうスポーツだと思うし、最後はみんなの応援とか、みんなの力が一つになったからこそ勝ち越しゴールを奪うことが出来て、4年間いろいろなことがありましたけど本当に嬉しかったです。
ーでは試合が終わってから
ただただ嬉しかった。後輩に残せるものが出来たというのもあるし、自分としてもこれでサッカーから身を引くという中で最後の最後にこういう形で終われたことに本当に感謝をしたいし、だからこそうれし泣きしてしまいました。
ーキャプテンになられた時のインタビューで、小さな達成を積み重ねて最後に大きな達成になればよいと話していたかと思いますが、今日までの一年間、そして今日の勝利はその大きな達成が形になったのだと思いますが、いかがですか?
やっぱり一番の目標であるインカレで西が丘に行けなかったことは悔しいですけど、その後にこの入れ替え戦を一年の集大成として挑んで、優勝で終われて、今までの努力の積み重ねが実を結ぶことが出来たのだと思います。
ー川本監督をはじめコーチ陣や支えてくれた親御さん。そして後輩のみんなに一言お願いします。
学年としても色々あったし、沢山迷惑もかけたと思いますが、それを結果で恩返しが出来たのかなと思います。(後輩たちには)ずっと一緒にやってきたけど、本当に3年生以下の選手たちも上手い子ばかりだから引っ張っていってほしいと思うし、しっかりと引っ張って行ってくれれば日本一も夢じゃないと思うので、応援しています。
藤本はるか副将
ー勝利が決まって時のお気持ち
1度追いつかれた時はどうなるかと思ったんですけど、みんな気持ちが前向きだったので、絶対勝てると思っていたし、昇格によって有終の美を飾ることができたので安心しました。
ー自分なりの評価
個人で考えると結果的なものは残せなかったと思うんですけど、守備の部分だったりとか、そういうところでチームのためにというハードワークが出来たかなと思います。
ー副将として、大東女子サッカー4年間はどうだったか
これまでの人生の中で一番山あり谷ありの4年間だったんですけど、個人的に「覚悟」という目標を掲げていて、その目標を達成できたと思うので、この4年間に満足をしています。
ー同期について
とにかく個性豊かなメンバーで、話し合いとかをしても、人の意見を聞くより自分の意見を出す人が多いので、話し合いが進まないこともよくあったんですけど、それもまた、同期の良さだと思うし、なんでも分かり合えている感じが大好きです。
山室佑梨花選手
ー最期の試合どのような試合にしようとしたか
普段戦わないような相手との試合だったので、どういう試合になるかなというのはあったんですけど、本当に勝つしかないので、点取って勝ちたいという気持ちが一番でした。
ー出場前監督から指示されたことなど
陽奈(宇津木陽奈)を起点にして、その裏を抜けるような感じで動くように言われていたので、ゴールに向かって凛花(宇田川凛花)に代わって出場したので裏への抜け出しを意識してやってこいと言われました。
ー自分なりの評価
最後だったので一生懸命プレーしたんですけど、得点を決められなかったので、100点満点でいうところ70〜80点くらいですかね。
ーこれで引退となるが、大東での女子サッカー人生はどうだったか
他のメンバーとは違って全国でそんなに有名な高校を出ているとかではないんですけど、それでもこんなに試合に出させてもらったりして、嬉しかった。それだけじゃなく、大東の応援が力になって今があるのかなと思います。
ー自分たちの代について
一人一人のキャラが濃く、個性豊かだったんですけど、それぞれのメンバーなりにチームのことをよく考えていて、チームのためにを一番に考えてやってきた学年だと思うので、それが生きた年だったのかなと思いました。
樋口明日香選手
ーベンチでのスタートとなりましたが、考えていたことは。
帝平大戦の時にPKを外してしまったのがすごい心に残っていて、PK戦になるかもしれない展開でしたけど、監督に聞かれた時に出たいと伝えて、試合に出ました。
ー入ってすぐにチャンスが訪れましたが、そのシーンを振り返って
みんながすごい踏ん張っていて、ピッチに入ってすぐに気迫を感じた。だからこそこの残り数分で決めたいと思ったし、あそこでボールを受けた時は、もうその一球に4年間すべてをかけました。
ーこの大会の試合はどの試合も楓昴らしい試合だったかと思いますが
去年一回戦で負けて、悔しい思いがあったし、今年も一つ下の3年生が多く試合に出ていて悔しい思いはあったので、最後の大会でこうやって4年生としての集大成が少しでも出せて良かったと思います。
ー最後の最後に大きな達成が出来ましたね。一年のを振り返っていかがですか?
皇后杯予選の敗退から始まったんですけど、そこから関カレで3位になって夢みたいな一年間で…サッカー人生をこんなに素敵な形で終えることが出来て良かったです。はい!達成できました。本当にありがとうございます。
宇津木陽奈選手
ー試合が始まるまで、どのような事を考えていましたか。
四年生には今まで沢山お世話になってきた分良い思いで送り出したいなというのが心の中にあって、試合に勝つことしか考えてはいなかったです。
ー陽奈さん自身にとってもチームにとってもゴールの欲しい状況だったと思いますが、
回されることは覚悟していたんですけど得点のにおいが全然しなくて、どうしようと思っていたんですけど、とにかく走り続けないとと思って、ああいう形でしたけど、どんな形でもゴールが奪えてよかったです。
ーでは待望のゴールのシーンは
自分でいうのもなんですけど、自分らしいゴールというか、普通のゴール以上に、頑張る事は無駄じゃあないなと改めて感じました。最近は全然点が取れていなくて、アタッカー陣としても得点が少ないのは監督に言われていたが、今季最後にそれを少しでも払拭するようなゴールになったんじゃないかなと思います。
ーでは試合が終了した直後に山さんと抱き合うシーンが印象的でしたが、その瞬間の気持ちは。
みんなが勝ちたいと思っていたからこそ勝つことが出来たんだと思って、最後にみんながうれし涙を流しているのがうれしくてもらい泣きしちゃいました。試合が終わった瞬間に緊張が解けて、安堵や感謝、色々な気持ちがあふれてきました。
ーでは最後に、最高学年となる来季に向けて
もう今日から新しいシーズンがスタートしていると思いますし、私たちの代がチームをまとめていくかにかかっていると思うので、オフの過ごし方とか、一つ一つ3年生がまとまっていかなければなと思います。
加藤梨子選手
ー後半からの出場で、自分なりに今回の試合どのような試合にしようとしたか
4年生が最後かもしれないという試合で、勝ちたいという気持ちもあったり、同期のもも(猿澤桃佳)が怪我で悔しい思いをしているのを見ていたので、そういう面も含めて自分が、という気持ちで試合に臨みました。
ー左サイドから積極的な攻撃参加が見られたが、今回の試合の調子など
今回のトーナメントを通して良いプレーというのがあまりできなく、先生に期待してもらっている分うまく行ってなかったので、トータルで考えてみれば、調子は良い方ではなかったです。
ー後半アディショナルタイムに決勝点を決められたことについて、お気持ちなど、ボールが来ることは分かっていたか
最高でした。とりあえず押し込もうという感じでいて、前にボールが来たので詰めたらゴールに入ったという感じなので。
ー来年への意気込みなど
先生にも言われたのですが、今の3年生が中心になるのですが、そこに下級生でも試合に関わって、底上げの出来たチームになっていきたいです。
今日の一コマ
この試合は女子サッカー部の4年生にとって最後の試合であるため、多くの人たちが応援に駆け付けていた。そしてその中には一足先に引退した男子サッカー部の齋藤弘貴前主将と江幡翔平選手の姿も。
いつまで経っても変わらない友情。これからの卒業生の活躍が楽しみだ。
【小山智也/長橋健太郎】