第48回関東女子学生剣道選手権大会
5月14日(土)
東京武道館
悔しさも秋への糧に







先週の男子個人戦に続いて、女子個人戦の関東女子学生剣道選手権大会が行われた。本学からは7名の選手が出場したが4回戦までに全員が敗退。男女ともに誰も全日本出場権を得られず悔しい結果となった。
そんな中、唯一4回戦進出を果たした佐藤夏織(スポ科2)は「体がよく動いて相手のことも見れていたし、負けた最後の試合以外はすべて彼女の良いところが出せていた」と監督も太鼓判を押す好調ぶりで、名門・国士舘大の4年生をも下す堂々の試合を見せた。
全日本出場権は上位28名に与えられる。6回戦に進出しベスト16入りすれば自動的に出場権が与えられるほか、5回戦で敗退した16人でトーナメントを行い、下位の4名を除いた12人も全日本へ駒を進めることができる。佐藤はあと1回勝って5回戦に進出していれば全日本出場の可能性が十分にあっただけに、悔しい敗退となった。
試合を振り返り佐藤は「いつもの試合は緊張してしまって間合いや攻めが雑になってしまうが今回はどちらもちゃんと意識して自分のペースを乱さずに戦うことができた。この大会前に何度か練習試合があり、その様子をビデオ撮影したものを自分で見て欠点を理解してから試合に臨めたのが好調の理由だと思っている」と語った。また、チーム最高の成績について嬉しいか、それとも全日本を逃して悔しい気持ちの方が大きいか尋ねると「とても悔しい」と迷いなく答え、「来年こそは全日本に出場したい...いや、出場します!」と、それまでは控えめな語り口であったのが一転、力強く宣言してくれた。
「チーム全体は良い方向に向かっている」という楢ア亘監督の言葉や、選手たちが真摯に結果を受け止めている様子は非常に頼もしく、今後の飛躍を期待させるものであった。成長した選手たちの姿を秋の団体戦で見られることを楽しみにしている。
試合結果
井林由賀主将(4年)
1回戦 〇井林 メメ― 藤井(昭和女子大)
2回戦 井林 ―コ 吉田(明星大)〇
1回戦、開始直後に一本を奪うと二本目も面を決め、危なげなく勝ち進む。しかし続く2回戦では上段の相手にコテを奪われて敗退となってしまう。「自分は上段の相手に対して本当に弱いので、これからはどんな相手に対しても柔軟に対応できる選手を目指したい」と振り返った。
菊池陽美(4年)
1回戦 菊池 ―ド 田島(東洋大)〇
開会式後間もない2試合目が初戦。気持ちの準備が間に合わず想像以上に緊張してしまったという。相手に打たれた引き胴が一本になり、何とか取り返そうと奮闘するも「焦りが強すぎて体と連動していない感じがした」と本人が語るようになかなか技が出せず4分が経過。惜しくも敗退となった。
高橋杏奈(3年)
1回戦 高橋 (延長)コ 長田(順天堂)〇
「うちのチームの今の中心は高橋」と楢ア監督が語るように、確かな実力と経験を持つ高橋。しかし、この日は高橋の本来の力が発揮できず積極性に欠け、相手に力強い小手を打ち込まれてしまう。「決して弱い相手ではないが地力は高橋の方が上だと思う。余計なことを考えずいつも通りの剣道ができていれば」と監督は今後への期待を込めて振り返った。
佐藤夏織(2年)
1回戦 〇佐藤 コメ― 加藤(群馬大)
2回戦 〇佐藤 メ― 氏家(国士舘大)
3回戦 〇佐藤 メメ― 中後(専修大)
4回戦 佐藤 ―メメ 三瓶(流通経済大)〇
初戦から体がよく動き技も次々と決まり順調な立ち上がり。国士舘大の選手との対戦となった2回戦でも開始後ほどなくして面が決まるとその後も守りに入ることなく積極的に攻め続ける。3回戦までは好調に勝ち上がるが、ベスト32進出をかけた4回戦では一本奪われると焦りが出たのか二本目開始後程なくしてまた面を決められてしまい敗退となった。
赤間紀果(2年)
1回戦 〇赤間 メメ― 石澤(群馬大)
2回戦 赤間 (延長)メ 後藤(法政大)〇
1回戦では危なげない試合運びで面二本を奪い2回戦へ。2回戦の相手は強豪・法政大の1年生であり、昨年には当時高校生ながら日本選手権に出場した実力者。相手の攻めに苦しみながらも負けじと粘り延長戦へ。しかし延長開始後まもなく面を決められ敗退となる。
森綾菜(2年)
1回戦 〇森 コメ― 岡田(帝京大)
2回戦 森 (延長)コ 川ア(国士舘大)〇
唯一上段の構えをとる森。初戦から堂々とした試合を見せ、二本勝ちで次戦に進む。2回戦では強敵を相手に怖気づくことなく技を出す。延長開始直後には森が一本になりかねない面を打ち込むのだが審判旗は上がらず。その後相手の小手が決まり惜しくも敗退した。
小澤莉果(2年)
1回戦 〇小澤 不戦勝 青木(首都大)
2回戦 小澤 (延長)メ 前波(駒澤大)〇
1回戦では不戦勝。迎えた2回戦、ここぞという場面がなかなか生まれず延長戦へ突入する。互いに譲らず試合時間は10分以上にも及ぶ。最後は相手の攻めに対して小澤が後ろに下がってしまったところにすかさず面を打ち込まれて勝負がついた。
コメント
楢ア亘監督
「秋の団体に向けてもう少し、剣道の本質的な部分はもちろん経験的なところも積みが必要だという感じ。今日のこのままの状態で団体戦に臨むようでは厳しい。また、選手たちには大学名などで審判の目が向こうに行くような状態ではダメだと伝えた。審判をこちらにひきつけるような剣道をしなければ試合には勝てない。とは言え、チーム全体的に良い方向に向かっているのは確か。1年生に良い選手が入って一生懸命にやっているので上級生も良い刺激を受けている」
井林由賀主将(スポ科4)
「個人戦なので内容は人それぞれだが、他大の選手との勝負強さの差を感じる部分もあったし、打ちの速さなど技術的なことや精神面共にレベルアップが必要なのかなと感じた。これから団体戦があるので個人の今回の反省はもちろんだが、チームワークも必要になってくる。一つの戦略であるので主将の自分がしっかりチームを高めていきたい」
菊池陽美(英米4)
「悔しい気持ちが一番強い。自分の剣道ができなかったことはもちろんだし、目標としていた全日本に誰も行けなかったことが悔しい。この思いを月曜の稽古から忘れずに、秋の団体戦に向けてどうしていくか1人1人がしっかり受け止めて全員で頑張っていくしかない」
更新が遅くなり申し訳ございません。お詫び申し上げます。
【中川千明】